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考えられるリスク

新しい視力矯正法として高い効果を望むことができるICL治療。受けてよかったという喜びの声も多いのですが、眼の外科手術である以上はリスクもゼロではありません。それはどんなものなのでしょうか。ここではICL治療のリスクやデメリットについて説明します。

ICL治療で起こり得るリスク

夜間のハロー・グレア

「ハロー」とは「光の輪」のことで、夜間や暗所で車のライトや街灯などのような光の周囲がぼんやりとリング状に光ったり、傘がかかったように見えたりする現象のことです。「グレア」とは、同じく夜間や暗所で光が滲んだように見える現象です。ICL手術の後に、これらの現象が生じる場合があります。
夜間のハロー・グレアはICL手術に特有のリスクではなく、レーシック手術でも術後に同様の現象が起こるようです。しかし、ICL手術後のハロー・グレアはレーシック手術後のものよりも症状は軽く、発生してもほとんどの場合数ヶ月で解消することがわかっています。

眼圧の上昇

ICL手術後にまれに起こるケースとして、一時的な眼圧の上昇があります。眼圧上昇の原因は、手術によって挿入されたレンズが眼球内の水分である房水の流れを阻害してしまうこと。術後に眼圧の上昇が見られた場合、点眼薬や内服薬として眼圧硬化剤が投与されます。
また、従来のICL手術に用いられてきたレンズの場合、瞳孔ブロックに起因する永続的な眼圧上昇が、0.8%という低い確率ではあるものの見られることがありました。そのため、手術前に虹彩周辺を切開するレーザー手術を行わなくてはならなかったのです。しかし、この問題はレンズの中心に穴が空いているホール付きICLを用いることで解決されています。

水晶体へのダメージ

ICL手術では、水晶体近くにレンズを挿入します。そのため、レンズが水晶体に接触してしまうことで傷ついてしまうケースも。ダメージがあると水晶体は白濁し、白内障になってしまう危険性が高まります。
水晶体の混濁は、加齢以外に個人個人の症状にも関係してくるとのこと。アトピー性皮膚炎や強度近視の人は、そうでない人よりも10~20年早く白内障の症状が現れます。特に危険因子が見受けられないのに、30代で片眼性の白内障が出るケースもあるのです。
重度の白内障になると、白濁した水晶体を取り除き、代わりに人口水晶体を挿入する手術が必要となります。この白内障手術には、ICL手術と同じように眼内レンズを挿入するので、ICL手術と同じリスクを伴います。
従来のICL手術で事前に行われていた周辺虹彩切開術にも、水晶体にダメージを与えて白内障を発生させるリスクがありましたが、ホール付きICLを用いることでリスクが大幅に軽減されました。

視力の低下

非常に稀なケースですが、ICL手術後に視力が低下してしまうケースがあります。最悪、失明に至る危険性もゼロではありません。
また、視力低下とまでは行かなくても手術直後には視界のぼやけ、かすみ、まぶしさなどによる見えにくさが生じることがあります。しかし、こうした症状はあくまで一時的なもので、術後1週間ほどで解消されます。
直接視力の低下を引き起こすわけではありませんが、術後に眼に異物感が生じたり、充血や染みたりする症状が出ることがあります。これも一時的なもので、1週間程度でなくなります。
もし、術後から時間が経過しても見えにくさや視力の低下がある場合には速やかに担当医に相談しましょう。

度数ずれ

極めてまれなケースではあるものの、ICL手術後に目標としていた度数よりも高い、あるいは低い度数になってしまうことがあります。
度数ずれは、レンズの位置が想定からずれることによって起こります。レンズ面が想定よりも前にあると近視寄りになり、後ろにあると遠視よりになります。ほとんどの場合は誤差の範囲内に収まりますが、裸眼視力に影響が出るレベルのずれがあればレンズの入れ替えを行います。
また、度数ずれを防ぐためには、手術前に精密な検査を行い、正確な屈折度数を計算しておかなくてはいけません。しかし、ICL手術は後からレンズの除去・入れ替えが可能なので、過度に恐れる必要はないでしょう。

ICLサイズのずれによる異常

術後の視力に影響を与える症状としては、ICLサイズのずれによる軸ずれが挙げられます。ICL手術にて正乱視を矯正する場合は、乱視の軸に合わせてレンズを決められた軸に固定する「トーリック機能」が必要です。
しかし、目に対してレンズのサイズが小さいと、術後にレンズが回転してしまい、軸がずれることで視力が低下してしまうことがあるのです。
軸ずれ自体は数分の処置で修正できますが、サイズが合っていないとずれが繰り返されることがあります。そうした場合はレンズを1段階大きなサイズのものと交換することで解決可能です。

感染症のリスク

ICL手術に限らずほかのあらゆる手術治療にも言えることですが、人体を切開する外科的手段を用いる以上、そこには必ず感染症のリスクが生じます。ICL手術後に発生する可能性のある感染症としては、術後眼内炎が挙げられます。
術後内膜炎が発症した場合は、内服や点滴による抗生物質の投与、症状が重い場合には前房洗浄やICLの摘出などの処置が行われます。しかし、この症状の発生確率は非常に低く、6000例に1件とも言われています。
感染症リスクの低減には、徹底した医療器具の殺菌・消毒、最小限の侵襲、術後の消毒が必須と言えるでしょう。

ICL治療は白内障のリスクがある?

ICL治療は視力矯正法のひとつですが、厳密にいえば外科手術ですので少なからずリスクがあることは考えなければなりません。

まず、あらゆる外科手術にいえることですが感染症を合併することがあります。どこのクリニックも手術にあたって衛生管理には万全を期しているはずですが、感染症の可能性をゼロにすることはできません。特にICL治療は眼内の手術ですので、術前検査で感染の問題をチェックするとはいえ注意が必要です。

また、レンズの種類によっては白内障を誘発する場合もあります。特に従来のICLレンズは房水循環(眼の中の水の流れ)が低下することがあり、約1~2%程度は白内障が進行するという報告もあります。
参考元:ICL研究会(https://icl-japan.net/about/)

ただし近年ではレンズの中央にごく小さな穴を開けたホールICLが開発され、房水循環が改善したことで白内障のリスクは低下しました。このホールICLは世界70か国以上で承認され世界的スタンダードとなっています。

水晶体へのダメージのほか、リスクとなるのは加齢です。白内障の原因である水晶体の混濁は加齢とともに進行します。60~70代になるとほとんどの人に白内障の症状が見られますが、早い段階では30~40代で白内障になるケースも珍しくありません。
白内障の原因である水晶体の混濁は、個人差が大きい要素です。そのため、ICL手術の前の水晶体の状態チェックおよび施術後の経年変化のチェックが重要になります。

ICL治療のデメリットを考える

眼鏡やコンタクトレンズと比較するとメリットが多いICL治療ですが、デメリットを挙げるとやはり費用面の問題が考えられます。ICL治療は保険適用外なので、短期的に考えると費用は圧倒的に高額となります。

しかし、一度ICL治療を受ければ基本的に一生ものだといえるので、眼鏡のように買い替えたりコンタクトレンズのように毎回購入したりということはありません。長期的に考えれば費用面のデメリットも見直す必要があるでしょう。

それから、ICL治療は年齢制限を設けている場合が多く、小さいお子さんは基本的に受けることができません。もちろん眼鏡なら子どもでも着用可能ですね。

これはデメリットといえないかもしれませんが、そもそも眼に何らかの異常がある場合はICL治療を受けられませんので、眼鏡で矯正することになるでしょう。

ICL治療でリスクを負わないために

資格が不要なレーシックとは違って、基本的にICL治療はメーカーの認定を受けた医師が手術を行うことになっています。認定には講習に加えてインストラクター医師の立ち合いのもとで手術を行うことが必要です。しかし、これに法的拘束力があるわけではないので、認定を受けていない医師がICL治療を行っているケースがあるのも事実です。

基本的なことですが、ICL治療でリスクを負わないためには信頼できる医師やクリニックを選ぶことが重要です。大切な眼の手術ですから当然のことですが、それでは何を基準に選べばいいのかは悩むところでしょう。

ひとつはICL治療の症例数です。実績が多いということは経験も豊富ということですので、それだけでも安心度が違います。

それから大事なのがアフターケアの充実度です。ICL治療には保障期間がついていることも多く、再手術をすることになっても無料で受けられますが、もちろんそうならないに越したことはありません。術後の定期検診がしっかり受けられるかどうか、万一不具合が起きた場合の対応はどうかなど、あらかじめしっかり確認しておく必要があります。

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