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眼の中に直接レンズを入れるので裸眼で生活できる、手入れやメンテナンスの不要など、メリットが多いといわれるICL治療。視力矯正を受けたい患者さんにとっては朗報です。
それでは最初に、そもそもICL治療とはどのような治療なのかを説明していきます。
ICLとは眼内コンタクトレンズとも呼ばれる、眼の中に直接レンズを挿入して視力を矯正する治療法です。眼内コンタクトレンズ(フェイキックIOL)はICLをはじめ多くの種類があり、角膜と虹彩の間につける前房型、水晶体と虹彩の間にレンズを固定する後房型の2種類に分けられます。
治療に用いられているのは「アルチザンタイプ」「ホールICL」です。アルチザンタイプはポリメチルメタクリレートという素材でできた前房型の眼内コンタクトレンズで、米国FDA(食品医薬品局)の承認を受けています。
ホールICLは後房型の眼内コンタクトレンズで、コラマーというやわらかい素材でできており、小さな切開跡からレンズを入れ込むことが可能。こちらは日本の厚生労働省から認可を受けています。
アルチザンタイプのフェイキックIOLはレンズを折り曲げることができないため、ICLよりも手術の切開が大きめになりますが、レーシックが適応できない方でも強度の近視や乱視の矯正が可能です。
従来のICLは房水循環(眼の中の水の流れ)が悪くなるというデメリットがあり、白内障が進行するリスクがありました。そのため、レーザーや手術で虹彩に穴を開ける必要があったのです。
そこで開発されたのがホールICLです。レンズの中央に極小の穴を開けることで房水循環が改善され、白内障のリスクを低下させることに成功しました。現在は世界70か国以上で承認され、世界的にもスタンダードなモデルとなっています。
ICL治療は眼の中に直接レンズを入れる視力矯正法、とはいっても実際の治療はどのように行うのか、なかなかイメージしにくいかもしれません。
ICL治療の手術を受けるためにはどのような検査が必要で、手術はどのような手技なのか、そして手術後の管理はどうするのかなど、ICL治療が他の視力矯正法と比べて優れている点も含めて説明します。具体的な治療内容をしっかり理解した上で、安心してICL治療を受けましょう。
ICL治療はあくまでも外科手術です。この治療に限らず、あらゆる外科手術には何らかのリスクを伴います。それではICL治療にはどんなリスクが考えられるのでしょうか。また、眼鏡やコンタクトレンズと比較した場合のデメリットも気になるところです。
どのようなリスクがあるのか把握することも大事ですが、それをできるだけ少なくするために慎重に医師やクリニックを選ぶことが重要です。
ICL手術を行う前には、適性検査を行ってその患者さんが手術に適しているかどうかを確認します。目の形に問題があったり目の病気や全身疾患があったりすると手術ができないこともあります。
事前検査では目の形や状態、生活習慣などを総合的に調査して、手術が可能かどうかを判断します。また、検査の際には正確な視力を測定するためにコンタクトレンズを使用している場合はしばらくの間使用を控えることになります。
なお、妊娠期間中、授乳期間中の女性は視力が不安定になることが多いので、その期間は手術をすることができません。
ICL治療は保険適用外の治療になりますので、どうしても費用の問題は気になります。そして治療自体が保険適用外であれば、それに伴う検査も保険適用外です。
クリニックによって設定金額はさまざまですが、ICLのタイプによっておおよその相場があります。また、医療保険や医療費控除の対象になるかどうかによっても負担が変わってくるでしょう。通常のコンタクトレンズと比較した場合の費用対効果も考えておきたいところです。
ICL治療で挿入するレンズは患者さんにとって一生ものです。手術をした後で度数が合わなかったなどの不具合は絶対に避けなければなりません。そのためには、手術を受ける前の検査が非常に重要となってきます。
ICL治療にはどんな検査が必要で、それをしっかり行ってくれるクリニックかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。ここでは具体的な検査項目をひとつずつ説明していきます。
ICL用のレンズに用いられるのは、「コラマー」と呼ばれるもので、コラーゲンを含んだ柔らかい素材です。親水性の素材であるコラマーは、多くのケースで眼内レンズとして用いられている疎水性アクリルに比べて屈折率が低くなっています。これによってレンズ内の光の反射を最小限に抑え、夜間や暗所で光の周囲に光輪が見えるハローや光源が滲んで見えるグレアといった症状が軽減されます。
また、コラマーに含まれているコラーゲンには炎症やフレア、細胞反応を最小限に抑える抑制作用があるので、術後のトラブル防止にも役立っています。
ICL治療には高額な費用がかかるというイメージがありますが、治療を行わずコンタクトレンズを使用し続ける場合であってもランニングコストはかかります。
短期的に見ると非常に高額だと感じてしまうICL治療ですが、長きにわたって継続的にコンタクトを購入し続けると考えた場合、どちらのほうが経済的であると言えるでしょうか。
ここではICL治療にかかる費用とコンタクトを使い続けた場合の費用について、比較や照会をしています。
前房型フェイキックIOLは、前房という目の構造の中でも前房という角膜と虹彩の間にある場所に挿入するタイプのレンズです。眼内に存在する虹彩に固定して使用することで、乱視や近視・遠視の矯正ができます。
レンズのメンテナンスが基本的に必要なく、レンズの劣化で交換が必要になることもありません。
| ICL | 前房型眼内コンタクトレンズ | |
| 挿入する箇所 | 後房(虹彩の後ろ側) | 前房(虹彩の前側) |
| 施術 | 角膜に切り込みを入れ、レンズを挿入する手術 | 角膜に切り込みを入れ、レンズを挿入して固定 |
| メリット | ・手術後のメンテナンス不要 ・角膜を削らずに済む ・交換やレンズの取り出しで手術前の状態に戻せる ・ドライアイになりにくい ・15~20分の手術で完了 |
・レーシックが不適応になった方も近視・遠視・乱視の矯正が可能 ・角膜を削らずに済む ・交換やレンズの取り出しで手術前の状態に戻せる |
| デメリット | ・費用が高額 ・手術後にハローグレアが起きるリスクもある ・稀に角膜内皮細胞が多く減少する場合がある |
・強い衝撃でレンズが虹彩から外れる場合がある ・レンズがオーダーメイドのため手術まで時間がかかる ・費用が高い |
角膜を3ミリほど切開し、切開した部分から虹彩と水晶体の間にレンズを挿入して固定する手術です。角膜を切開した部分は小さく、自然に傷口がふさがるので、縫合や抜糸は必要ありません。
手術はライセンス制で資格を持つ医師のみが行います。
手術前には適性検査があり、クリニックによって無料だったり数千円~2万円かかったりと異なります。費用は両目で40~70万円のクリニックが多く、乱視の場合には10万円上乗せになる場合もあります。
ICL手術は片目で約10~15分程度です。手術後は30分程度安静にしておく必要がありますが、その後は帰宅することが可能な日帰り手術となっています。翌日から3日後、1週間後、1カ月後、3カ月と期間を開けて定期的な検診を行っていきます。
見え方には個人差がありますが、多くの方は翌日から綺麗に見えているようです。
矯正度数の範囲も広くて度数によって難易度が変わるといったこともありません。また近視の再発やドライアイのトラブルといったリスクも抑えられます。他の眼科疾患で手術が必要になる場合も、レンズを外して受けることが可能です。
レーシックやオルソケラトロジーなどと比較して、費用が高くなりがちです。また、ICL手術後に光が滲んで見えて光がギラギラとまぶしく見えるハローグレア現象が起こるケースが報告されています。
加えて目に強い衝撃を受けてしまうとレンズが虹彩から外れる可能性も。また、極めてまれなケースですが、術後の角膜内皮細胞が通常より多く減ってしまうという報告も挙がっています。
ICLと同じく角膜の内側にコンタクトレンズを入れて視力を矯正する方法で、近視が強い方や円錐角膜といった方も受けられる施術です。手術時は角膜を切開し、レンズを挿入します。虹彩の前側にあたる前房にレンズを固定し、角膜を縫合します。
手術は片目15分程度と短く、日帰りで帰宅できます。
手術後1週間後から定期的に1ヶ月後、3ヶ月後6ヶ月後、1年後検査といった感じで定期的に検査が行われます。手術後1年経過してからは、1年に1度眼底検査を実施。眼底検査前には車の運転を控えましょう。
角膜が薄かったり、重度の近視・円錐角膜といったことでレーシックが不適応になった場合にも近視・遠視・乱視の矯正をすることが可能となっています。
角膜を削らないため、見え方が綺麗な見え方の可能性が高くなるほか、レンズが合わなかった場合もレンズの種類を変えたり、レンズを外して手術前の状態に近づくことが可能です。
レンズを折り曲げることができないため、ICLと比較して切開時のキズが広くなります。
レンズは一人ひとりの角膜に合わせたオーダーメイドとなっており、手術までに2週間から1ヶ月ほど、乱視の場合には数か月必要になることもあります。