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ICL治療は視力回復の方法として広い範囲で対応できるとされていますが、適応条件によっては施術ができない可能性もあります。適した屈折矯正治療を選ぶためにも、適応条件や向いている人などを確認しておきましょう。
ICL手術は多くの人が利用可能です。ICL手術の適性は、一般に「21歳から45歳までの眼鏡の度数が安定している方」となっています。視力の補正対象は、強度の近視、遠視、乱視です。
逆にICL治療の対象外となるのは、妊娠中もしくは授乳期間中の女性です。これは、妊娠中や授乳期間中は眼球の屈折率が不安定になるからです。また、目の中の隅角という部分が狭い人だと、レンズを入れるスペースが確保できないため手術ができないことがあります。ほかにも、目の病気や全身疾患がある場合は手術の対象外となる場合があります。
ICL手術に適した年齢は18歳以上とされています。水晶体の状態は加齢によって変化するので、老齢の患者さんに対するICL手術は慎重に行う必要があるとも日本眼科学会のガイドラインに記されています。
また、ICL手術は6Dを超える近視の矯正に適しているとされています。15Dを超える強度の近視には慎重な対応が求められるため、絶対に適しているとは言い切れません。
参考元:【PDF】日本眼科学会|屈折矯正手術のガイドライン(http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/lasik_7.pdf)
6D以下の近視に対しての手術が禁じられているわけではありませんが、その場合はレーシック手術のほうが適していることがほとんどです。ただし、角膜が薄いせいでレーシック手術が適していないと判断された場合にはICL手術が行われることもあります。
ICL手術は角膜と水晶帯の間にレンズを挿入する方法です。従って、角膜と水晶体の距離である前房深度が浅い人は、無理にICL手術を行うと緑内障が発生する危険性があります。
また、格闘技やサッカーなどの頭部や顔面に強い衝撃を受ける可能性の高いスポーツを行っている人は、その衝撃でレンズがずれてしまうことがあるので、ICL手術よりもレーシック手術やPRK手術のほうが適しています。
初期に比べて大幅に普及したとは言え、ICL手術は誰にでも無条件で行えるわけではありません。そのため、手術の際には事前検査を行って適正を確認する必要があります。
適性検査では、目の形や状態、生活習慣などを総合的に判断して手術の可否を確認します。また、コンタクトレンズを使用している場合は、正確な検査を行うために一定期間使用を中止する必要があります。
ICL手術は多くの人に対応した視力矯正手術です。しかし、ICL手術は、かつては今のように普及していませんでした。その理由は2つあります。
1つはコストです。ICL手術に使用するレンズは高額なため、レーシック手術と比較するとどうしても費用が高くなってしまいます。
もう1つの理由は手術のリスクです。かつてのICL手術は、水晶体と虹彩の間のスペースにレンズを挿入していました。そのため、眼球内の水分である房水の流れがレンズで阻害されてしまい、その結果緑内障になってしまう危険性があったのです。
これを回避するために、手術前にレーザーによって虹彩を切開する「レーザー周辺部虹彩切開術」を行う必要がありました。しかし、この手術にも、ごくまれにとはいえ失明の危険性がある水疱性角膜症という合併症を引き起こす危険性があったのです。
上記のように、初期のICL手術には大きなリスクがあり、まだまだ多くの人に対応した視力矯正手術と言える段階ではありませんでした。
その問題を解決したのは、北里大学眼科教授の清水公也医師が開発した「hole付きICL」です。hole付きICLの中心には小さな穴が空いており、ここから房水の流れが生じる仕組みになっています。これによって、かつてのICLの問題の1つであった「レンズによって防止の流れが阻害される」が解決しました。合わせて、レーザー周辺部虹彩切開術を行う必要性、そしてそれに伴う合併症発生のリスクもなくなったのです。さらに、手術自体もレンズを眼内に挿入するという簡便な方法になったため、ICL手術は大きく普及しました。